サンゴ礁保全の取り組み(石西礁湖自然再生協議会)
昨日は、
石垣島の八重山商工高校にて第20回石西礁湖自然再生協議会が開催されました。
石西礁湖自然再生協議会とは
我が国を代表するサンゴ礁生態系である石西礁湖は、
漁業や観光など地域経済を支える存在であり、
多くの人が活動する場となっています。
その石西礁湖が、赤土流出などの陸域からの環境負荷、高水温等による白化、
オニヒトデの大量発生等により、撹乱を受け、大きく衰退していることから、
「かつてのすばらしい石西礁湖のサンゴ礁を取り戻したい」、
「もっと美しい海を見てみたい」、
「サンゴとともに生きる地域をつくりたい」
という熱い思いを持った、
地元住民、市民団体、漁業や観光関係の団体、研究者、行政機関など多様な主体が集まり、
石西礁湖自然再生協議会が平成18年2月に発足しました。
協議会では、まず、石西礁湖の自然再生に向け、どのような目標に向かって進むべきか、どのような活動をすべきか、
それぞれの構成員ができることは何か、などについて議論を行い、平成19年9月に「石西礁湖自然再生全体構想」をまとめました。
現在は、全体構想に基づき、目標実現に向けた活動の実施について意見交換を行っています。
http://sekiseisyouko.com/szn/entry/aboutszn.html
20回目を迎えた石西礁湖自然再生協議会では、
昨年(2016年)の大規模な白化について、環境省が実施した数値結果の報告がありました。
昨年は、6月から9月にかけて30℃を超える高海水温の状況が続きました。
その結果、
7月下旬から8月中旬までのサンゴの被度は(海底面をサンゴが覆う割合のこと)29%、白化率89.6%、死亡率5.4%でした。
通年は、台風来襲による海水温の低下があるのですが、
昨年は台風の通過が僅かで、海水の撹拌が少なく、海水温の低下が大幅に遅れました。
9月下旬から10月上旬の数値はさらに悪化し、被度20%、白化率97.1%、死亡率56.7%。
その後、気温の低下に伴いサンゴの若干の回復が見られたものの、
11月下旬から12月下旬での調査は、被度12%、白化率91.4%、死亡率が70.1%との数値が出ております。
昨年7月の竹富東沖でのサンゴの白化(写真提供:Akira Uesedo)
いわば、陸地であれば森の7割が消失したといえる大規模なサンゴ白化。
地球温暖化の進行や天候不順は人為的に防ぐことができません。
研究者や有識者、業界団体で構成される石西礁湖自然再生協議会では、
大規模なサンゴの白化現象を受け、どのような対策が考えられるか意見交換が行われました。
サンゴがストレスを溜める要因となっているバクテリアや
赤土に生息するバクテリアなどの研究ならびに対策を進めたり、
サンゴに付着する藻類を食べる魚類の漁獲を制限するなどの意見がありました。
石西礁湖自然再生協議会では、
地域と連携してサンゴ礁の再生に向けての取り組みや、
重要性を普及啓発する活動を進めています。
(ta)