竹富島の豊年祭(その2)

昨日と今日の2日間、
竹富島では豊年祭(プイ・穂利)が執り行われています。

初日は、六山(ムーヤマ)の氏子たちが御嶽に集うオンプイ(御嶽穂利)で、
竹富公民館執行部および有志の参詣の儀式が行われます。

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花城御嶽の氏子たちのウブ入り

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竹富公民館執行部および有志による参詣(花城御嶽)

ムーヤマとは竹富島に渡来した6神のこと総称し
島に由来のある方々はムーヤマの氏子に属します。
ムーヤマの氏子たちが御嶽に集うのはナーキ祝いと豊年祭の2つの祭祀のみですが、
この2つの祭祀は、竹富島で執り行われる祭祀のなかでも
古来より伝えられる形式を残していると考えられています。

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豊年祭とナーキ祝いでは、
「ムチャネー」と呼ばれる米と粟と小豆を炊いて練った楕円形の供物と、
「シュナイ」というチョウメイソウ、アキノノゲシ、パパイヤ、モヤシなどの材料を味噌で和えた供物を捧げます。
ムチャネーの作り方は、竹富島最大の祭、種子取祭で作られるイイヤチとほぼ同じですが、イイヤチの場合、イイヤチダーという型枠に入れ形を整え、ムチャネーよりきめ細かく練り上げて上品につくります。
つまり、イイヤチはムチャネーが様々な文化や格式を取り入れて完成された食べ物と考えることができ、ムチャネーは種子取祭で執り行われる儀式より前からの供物であることが推測できます。

オンプイはそれぞれの御嶽によって進行が異なりますが、
共通していることは、
ムーヤマの御嶽と氏子を統括する責任者の家系である
トゥヌイムトゥ(殿居元)を中心として行われることです。
そのムーヤマを竹富公民館執行部および有志がそれぞれの御嶽を
参詣することによって祭祀をひとつにまとめていきます。

豊年祭2日目にあたるトゥヌイプイ(殿居元穂利)は、
神司と竹富公民館執行部がニーラン神石から竹富島の主たる拝所を参拝します。
トゥヌイプイでは、最高の聖地と云われる小底場(クックバー)を参拝します。
クックバーはトゥヌイプイと世迎い(ユーンカイ)の年に2回しかありません。

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ニーラン神石によるユーニンガイ

神司と竹富公民館執行部は、豊年祭2日間を通じて以下の拝所を参拝します。

オンプイ(豊年祭1日目)
・国仲御嶽  (園比屋武御嶽の神をお招きする。西塘大主が創建したと云われる)
・清明御嶽  (竹富島を創った2神が祀られている)
・西塘御嶽  (竹富島最大の偉人、西塘大主が祀られている)
≪有志との参詣・神司はそれぞれの御嶽へ》
・玻座間御嶽 (ムーヤマのひとつ。根原金殿を祀る)
・仲筋御嶽  (ムーヤマのひとつ。新志花重成殿を祀る)
・幸本御嶽  (ムーヤマのひとつ。幸本節瓦殿を祀る)
・久間原御嶽 (ムーヤマのひとつ。久間原発金殿を祀る)
・花城御嶽  (ムーヤマのひとつ。他金殿を祀る)
・波利若御嶽 (ムーヤマのひとつ。塩川殿を祀る)

トゥヌイプイ(豊年祭2日目)
・ニーラン  (ニーラスク・カネーラスクから渡来する神を祀る)
・幸本御嶽  
・小底場   (ハヤマワリハイタツの神が八重山中に穀物を配ったと云われる)
・真知御嶽  (霊感によって島に貢献したマートゥとフゾンの兄妹を祀る)
・清明御嶽

御嶽の参拝は祭祀の由来や歴史と密接に関わります。
儀式に近い形式をのこすオンプイ・トゥヌイプイの参拝を通じて、
八重山一円で執り行われる豊年祭と
竹富島の豊年祭とのかかわりを強く考えさせられました。

(ta)