キツガン(結願祭)
1年間の願いを解くまつり、結願祭。
1年間の願解きの祭は八重山の各地域で執り行われており、
小浜島の結願祭は国の重要無形民俗文化財に指定されています。
竹富島の結願祭は、旧暦8月最初のみずのえ・みずのとの日を選び、
今年は9月13・14日の2日間にわたって執り行われます。
竹富島の結願祭は創始が明らかで、
1875(明治8)年、当時の役人であった知念与人の呼びかけにより始められた
と伝えられています。
1日目は神司の夜籠り(清明御嶽、西塘御嶽、幸本御嶽)
2日目は島内22か所の拝所を訪れ1年間の感謝、来年の豊穣を祈願します。
さらに、結願祭のハイライトといえるのが奉納芸能。
2日目の14時頃から清明御嶽に設けられた舞台にて島民が芸能を奉納します。
毎年必ず奉納するのが「始番狂言」「芋堀狂言」の2点。
「始番狂言」は、
4名の老人が神へ豊穣を授かったことを感謝し、子どもたちが演ずる芸能を
愉しみながらほろ酔い気分で幕引きする予祝狂言。
「芋堀狂言」は、
稔った芋を収穫する2名の女性と芋を運ぶ男性とのユーモラスな会話を通じて、
芋が収穫できる喜びを表現する予祝狂言です。
いずれも台詞はテードゥンムニ(竹富島言葉)で、
特に「芋堀狂言」の台本は基本的にはあるものの、
演者のアドリブを織り交ぜた軽妙なテードゥンムニによって会場を湧かせられるか
が決まるといっても過言ではないほど難易度の高い狂言です。
二つの狂言には、悪名高き人頭税時代(1637年~1902年)の名残りや
明治維新(1868年)により日本が新たな国の制度に変革した雰囲気などを
感じることができますが、
結願祭がはじめられた4年後、
明治政府は琉球王国を併合するいわゆる「琉球処分」を断行します。
こうした大きな歴史の流れを理解しながら、
小さな島で奉納され続けている狂言を見学するのも面白いかと思います。
(ta)