・島を治めるしくみ・


 沖縄で「公民館」というときは、建物を指すだけでなく、実質的に地域を運営する力をもつ住民の自治組織を意味します。竹富島の公民館はひとつですが、西表島や石垣島のように大きい島では公民館はいくつもあります。それは、公民館が「シマ」の自治組織だからです。このときの「シマ」とは、島すなわちislandのことではなく、祭りを共同で執り行うムラ(村落)を指します。
 竹富は、周囲9.2キロメートル、サンゴ礁が隆起してできた島です。さまざまな外圧も苦難もありましたが、“てーどぅんひと”(竹富人:竹富のことを“てーどぅん”とか“たきどぅん”と竹富の人たちはよびます)は公民館をもとに一致団結して、何ごとについても主張するべきところは主張しながらやってきました。こんな小さな島でどうしてそんなことができるのだろうかとよく聞かれます。それは、住民の意識と指導者の資質だったと思います。逃げ場のない島の生活では、その時々に、島にとって何がほんとうに重要なのかということを、いつも見極めていく必要があったからです。
 その基盤になっているのが500年前の島の偉人・西塘様の遺訓といわれる「かしくさや うつぐみどぅまさる」という言葉です。みんなで協力することこそ優れて賢いことだ、という意味です。この「うつぐみ」すなわち一致協力の心こそ竹富島の基本精神です。しかし、少人数だからといって、馴れ合いというのではありません。島には3つの集落があって、その競い合いはすごいものがあります。他の集落には負けられないという対抗(対立ではなく)意識は相当なものです。“ずんぶん”(生きるための知恵のこと)を働かせて、お互いに切磋琢磨してきました。そうしていながら、一度みんなで決めたことは「うつぐみ」の精神によって実行していきます。その良い例が公民館長の選出です。公民館長は、場合によっては町や県、国とも対立して、島の未来を守らなければなりません。島の最高責任者です。任期は1年、再任は妨げませんが、3集落の持ち回りで責任をもって選出しなければなりません。恥になるような人は出せません。次の世代の館長候補を育てるために、長老はじめ島のみんなが協力をします。公民館の運営には公民館規約があり、公民館議会議員12名が3集落より選出され議事を審議し、館長以下執行部が運営にあたります。執行部の大きな仕事は、年間20回にも及ぶ祭事行事の執行です。毎年3月31日に、全員参加の公民館総会を行います。
 竹富島の集落は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。これも“てーどぅんひと”の努力の積み重ねの結果だと思っています。選定の根拠となったのは、町並み景観の美しさはもとより、「売らない・汚さない・乱さない・壊さない・生かす」の5原則をもつ「竹富島憲章」の存在でした。現在では人口の3分の1が島生まれではありません。それでも、100%加入の公民館のおかげで、沖縄の原風景ともいわれる赤瓦の家並みと石垣が美しく守られています。白いサンゴ砂の道を毎朝清掃するのも200年以上前からの習慣です。良い習慣を積極的に継承し、島の遺産と一緒に育っていきたいと思います。
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